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花京院誕生期間SS「Helianthus annuus」

2013/08/22

「はい…」

アメリカでの受験を控えて、両親の出かけている家で、ただひらすら籠りながら勉強をしていると。
けたたましいチャイムの音が、ささやかなクーラー音のみの部屋に響き渡った。

「国際宅配便になります!」

重い腰を上げ、玄関の扉を開けるや否や、少し寝不足気味の頭に響く、大きめな声で告げられた箱に貼られた送り状を見ると、送り主の名前が書かれていない。
その不審な状態は、普段だったら確認すべき項目なのだろう。
だが僕は何の問いかけもせず、玄関棚に置かれた印鑑にすぐに手を伸ばし、受け取る事にした。



何より、その宅配物が自分宛てだったのと、“アメリカ”からの空輸であった事が解ったからだ。
まだ確定もしていないのに”落ち着け”と早まる鼓動に命令しても、一向に効き目はない。
ないものねだりはしない生き方だった筈なのに。
あの50日間の日々は、僕をこんなにも変えてしまった。



お礼の言葉と共に、軽く宅配員を見送りながら、その大きさに比べ意外と軽い箱を”Fragile”の注意書きに従う様に、ゆっくりと玄関先に置く。
ハッと気付いて、ハサミを取りに台所に急いで向かい、戻ってきた後、僕はテープ止めされたその部分に、丁寧にハサミを入れていった。
そしてその箱が開かれた瞬間。
まず視界を埋めたのは、溢れんばかりの黄色一色だった。
突然の事に面食らい、それが「切り花のバスケット」だという事に、しばらく気付けない。
何回か目を瞬かせ、全体像をしっかり認識した後、ようやくその中にそっと、挟み込まれた赤い縁取りのかわいらしいカードを発見する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『HAPPY BIRTHDAY!
ふふふ。びっくりしたか?
来年の今頃は、さらに驚く、とびっきりのひまわり畑に
連れていってやるからな! J.J』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

綺麗な筆記体でそこに書かれているその文字が、とても鮮やかな音声で再現される。
僕の口元は知らず、それに呼応する様に、心からの笑みを湛えていた。



ああ、今無性に、ただひたすらその声が聴きたい。



太陽を象徴するそれは、自分にはとても似合わない花だと思っていたけれど。
あの人を思い出させるその花を。
せめてものよすがを求める様に、手で黄色い花弁を緩やかに撫でつけながら。






僕は初めて、好きだと思った。






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とんでもなく滑り込みになったけど!
花京院ハッピーバースデー!!!

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