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承ジョセSS「Gli intoccabili」(GFパロ)

2013/03/13

眩しい位に鮮やかな蒼さが広がる空。
そこから注がれる暖かな日差し。
潮風の匂いに導かれるその場所は、この国屈指の観光地でもある。
港に浮かぶは、大小様々なクルーザー。
そして自分が今居るのは、いかにもな、白いテーブルとチェアの並んだ、カフェのオープンデッキ。
まさに「パラダイス」の様なその場所。
数時間前まで居た場所と、本当に同じ国なのかと疑いたくなる。
”仕事”で来ているのでなければ、このまま思いっきり観光気分を満喫できるのに。






「はあ~西海岸はいいのう。冬だというのに、今日なんか昼間、コートもいらんもんなあ。」
「…じゃあ移住でもするか、じじい。」

そんな目の前の二人の会話に、危くふやけかけていた思考を整え、視線を戻せば。

「ははは。そりゃいいかもしれんのう。」

風に遊ばれた髪を撫でつけながら、ジョースターさんは、できもしない事と、どこか憧憬を秘めた瞳で遠くを見ながらそう呟いていた。
でも返した相手が、あまり戯言として言っている訳ではないのを僕は知っている。
…目が本気だよ、全く。 
しかし、それに気付かない、というより気付かないようにしているジョースターさんは笑いながら話を続けている。
僕も適度に相槌を打ちながらも、長い事放っておかれた彼のアイスティーの氷の解け具合を指摘しようとした時だった。
ジョースターさんの楽しげな表情が、一瞬にして変わった。
その直後、レストランに響き渡る怒声と食器の割れる音。
自然、僕が目線をやるとそこには、持ち合わせる品格に不似合いなスーツを来た若者達が陣取っていた。
この国では珍しくない、僕達の”同業者”崩れの一団の口論だと一見して解る。

「どこの地域でも、ああいう輩はいるんじゃな。」

僕が止めるまもなく、ジョースターさんはため息と共に、即座に立ち上がる。
差し出した手は空しく、空中に投げ出されてしまう。
ツカツカと足早に歩を進め、騒ぎの中心人物までたどり着くと、開口一番。

「他の者の迷惑だ。去れ。」

…僕はその場で叫びだしたくなった。
他にやり方ってものがあるでしょ!?
ストレートにも程がある!

「ああ?なんだ、おまえは?」

案の定、ただですら憤っていた男の火に油が注がれた。
激情のまま、ジョースターさんの手首を男の手が乱暴に捉える。
その瞬間、思わず動こうとした僕の耳元を。

ただ風を切る音だけが通り抜けた。

 

 

 
それは、まさに一瞬の出来事だった。

 

 

 
この世界に身を置いて、結構経つが、人があそこまで派手に空を飛ぶのを初めて見た。
あんな綺麗な回し蹴りもである。
最初に浮かんだことは、そんなくだらないことだった。
続いて響く、鈍い音。
壁に激突し、重力に従って崩れ落ちた男は、これまた見事にオチていた。

「………覚悟はできてんだろうな。」

そして追い打ちをかけるのは、地を這うような低い声音。
それはさっきまでの流暢な英語とは打って変わって、完全に日本語に切り替わっている。
周りの人間には、意味まで解らなかっただろう。
だが、それでもその男から放たれる”気”が全てを物語っていた。
こんな時にも関わらず、僕は口笛を吹きたい気分にかられてしまった。
だが、ジョースターさんは、彼には珍しく、呆気に取られた表情をしている。

「承太郎!?」

物も言わずに吹っ飛んだ男とそれを見て慌てて駆け寄る男の仲間、そして承太郎を交互に1回ずつ見た後…
時間を取り戻した様に、慌てて自分の目の前に突如位置取った自分の孫の袖を引く。
だが、その動きと対照を成すように、ゆっくりと振り返った承太郎は。
先ほどした行動がまるで嘘だったかのような丁寧さで、ジョースターさんの手首に触れる。

「大丈夫だったか?」

その仕種と言葉に、僅かに含まれた困惑と非難の色は、ジョースターさんの表情から瞬時に霧散してしまった。
しばし、見つめあい続く沈黙。

「…ああ、なんともない。」
「そうか。」
「…昨日、おまえが騒動を起こすなと言った気がするんだがのう。」

さっと視線を下に落としながら、ジョースターさんはそう言うしか術がなかった。
無理もない。
あんな真っ直ぐな視線で、さも当然のことのように事を成した相手にどう返せというのだ。



 

やれやれといったため息をつくと、今解決すべき問題は目の前の二人以外にもあることにようやく気づいた。
どうやら、僕自身も存外、焦っていたらしい。
騒ぎ始める客達に、今にも警察を呼ばんが勢いの青ざめた店員達。
僕の中の冷静な部分が、即座に店側に払うべき賠償金とその根拠を並べ立て始める。
はあ。こういう事のために、弁護士になった訳じゃ…ってそうとも言えないか。
そもそも僕の役割は、正道からのジョースター家の露払いだ。
自分自身でそう決めたのだ。
しかし…承太郎が自分の先行きについて腹をくくったのなら、こういう事は増えていくんだろうなあ。
普段は冷静沈着で洞察力にも長け、人望もある理想の後継者なのだが。
"ある一つ"の、いや”ある一人”に関わる事柄だけには、脊髄反射で動くこの二代目候補と『現職』のやり取りを視界の隅に入れながら。
僕の管理する予算内で収まる範囲にしてほしいという淡い願望を、苦笑いと共に抱かずにはいられなかった。







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GFパロ第2弾。今回は花京院目線。
「自分得でしかないー!」とアップ後、ジタバタ状態だった前回のパロSSに拍手をありがとうございます(T_T)
このパロシリーズ、前回は初回ということもあり、かなり原作に沿って書きましたが、
今後は設定だけ借りて、今回みたいに好き勝手書いていく仕様になると思います(^^;
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