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承ジョセSS「La fine e cominciando」(GFパロ)

2013/03/05

※人物設定は、Memo記事参照。



俺は稼業なんか継ぐつもりはなかったんだぜ、本当に。
家族は大切だし、愛してもいる。
でも、それとこれとは話が全く別だった。



La fine e cominciando



どんなに綺麗事を並べても、結局の所、家のやっている事は、突き詰めればただの”暴力”でしかない。
どこにいようとも、いつまでも付きまとう、血なまぐさい臭い。
俺の顔を見ると、まるで将来のためとでもいう様に、へつらってくる得体の知れない輩達。
そして。
こんな時に思い出すのはいつも一つの光景。
幼い頃、母に祖父の居場所を聞き、「今はダメよ!」という静止を意に介さず、たどり着いたその部屋のドアの隙間から見えたのは。
自分には決して見せた事のない表情で、奴らの“誓約”をうけるアンタだった。
嫌いだった。いつもは誰よりも好きな祖父なのに。
自分の知らない”その彼”だけは決して受け入れる事ができなかった。






だが、少年のモラトリアムの様な日々は、唐突に幕切れを迎える。

一度通り過ぎかけた新聞スタンドに踊る『暗殺未遂』の文字にしばし呆然となった後。
すぐ様、車を飛ばして家に駆け付け、唯一の堅気という理由でファミリーから許可を受け、たどり着いた病院で目にしたのは、全く想定もしていない情景だった。
聞いていた筈の病院前の見張りが誰一人いない。
逸る鼓動を無視し、面会時間をとっくに過ぎ、照明が落とされ人気のない廊下をただ黙々と歩く。
途中で、看護師に呼び止められた気がしたが、そんな事に拘わってはいられない。
目的の番号の病室にたどり着けば、護衛として病室に配備した人員も。
ましてや、尋問のために見張っている筈の警察達もいなかった。
追いついてきた、息を切らせている看護師に、彼女の事情などお構いなく問い詰める。
「ここにいた男達や警察はどこに行った?」
「…え?あれそういえばいなくなってるわ…警察の方達は少し前に、本部から緊急招集があったからって出ていかれたけど。」
先ほどから自分の頭の中に散らばっていたピースが全て繋がる。
最悪の予想は、今まさに、現実になろうとしていた。
「…おい。今空いている病室は他にあるか。」
「え?何でそんな事を…」
「少し考えれば解るだろう…今がどういう状況だか。今夜、確実に敵の襲撃がある。」
”襲撃”という言葉に、見る見る看護師の顔がいっそ鮮やかな程、恐怖に歪んでいく。
「その事態を防ぐ。それがこの病院の為にもなるだろう。言え。空いている他の病室の場所を。」
肩を震わせる彼女から強引に答えを引出し、同じ階の病室まで、管の繋がるタンクごと、ベッドを移動させる。
そして移動先の病室の備え付け電話を拝借し、電話先の花京院に事態を足早に伝えた。
全く武器を装備していない、“一般人”の俺に今できる事といえば、これだけだった。
新しい人員が来るまで、30分はかかる。あとは、せめてもの威嚇として、病院入口に佇む事だ。
おそらく、少しでも計画に狂いがあれば、奴らは怯む。
ベッドの傍らの簡素な椅子に座りこみ、何か銃器に見せかける事ができるものはないかと頭を回転させようとした時、ある違和感を覚えた。
握りしめた右手が小刻みに震えているのだ。
俺は驚く。
今、自分は人生初めての、心底からの恐怖を感じていた。
現状を鑑みれば、きっと自分の命も危ないのだろう。だが、そんな事が理由ではない。
俺は何より。

「アンタをなくす事が恐ろしいんだ。」

その瞬間。
自分の中の何かが、盛大に音を立てて崩れた。






…認めてしまえば簡単な事だったんだ。
自嘲として浮かぶ笑みをかき消すように立ち上がり、月光に照らされて、さらに青味を帯びた顔で、深い眠りにつくアンタの髪に手を差し入れる。
今の状況には場違いな程、その手は優しい動きで梳いていた。

「ここで休んでろ。今から俺がアンタを支える。これからは俺がそばにいる。」

すると、まるでその言葉が届いた様に、左目から一筋の涙が零れ落ちる。
そして、それに誘われるが如く。

「…俺がアンタを守る。」

『終わり』と『始まり』を同時に告げるその言葉は、何の躊躇もなく、するりと発せられていた。






”生”の証でもあるその温かな雫を拭った手指は、そのままベッドの外に投げ出された右手を掬い取る。
最大の決意を直に伝えるその行為に対し。
縋る様に。
或いは、引き止める様に。
今の俺には判別できない理由を伴い、僅かながらの力で握り返されたそれを、ただ黙って両手で包み込んだ。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
「ゴッドファーザー」パロ第1弾。
原作で印象深い、ドン暗殺未遂後の病院シーン。
ある意味、もう一つの始まりのシーンでもあるので初回はここから始めてみました。
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