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承ジョセ贈りものSS

2015/07/21

「ふう。夏だと思って油断してると、冷房でもだいぶ乾燥しちまうのう。」

唇のひどい荒れ具合を感じながら、わしはポケットからある物を取り出す。

「おい、じじい。何だそれは。」

そこで、さっきまで人の話をスルー気味だった隣の人物から、ようやく声がかかった。

「ん?あ、これか?海外旅行から帰ってきたホリィの友人からのお土産らしいんじゃが…オーガニックとか言ったかの。おすそわけって何本かもらったんじゃ。」
「…あんた、まさかそんなもん使ってんじゃねえだろうな。」
「そうは言っても、この年になると結構乾燥との闘いはシビアなんじゃぞ。この間も気付いたら唇切れてたからのう。おまえも使ってみたらどうじゃ?」
「あほか、くだら…」
「?」

そこで急に言葉と歩を止めた承太郎を不思議に思い、視線を後ろにやると。
何故か彼は、顎に手をやり、何かを深く思案している様だった。
…今の会話に、何か悩ませる様な事でもあったか?
そう思いながらも、見守っていると。

「塗ってる姿を考えるとぞっとしたが、それをしなくても、効果が期待できる方法が一つだけあったぜ。」
「は?」

一人で合点した孫の言っている事が理解できず、思わず間抜けな声が出たその唇に何故か強い視線を感じる。

「え…っと、承太郎さん?何かしゃべってもらわんと怖いんじゃが…」

そのまま無言で迫りくる承太郎の圧力に、気がつけば背中に、壁の当たる感触がしている。
つまり。
何故かじりじりとわしは追いつめられていた。
本当何なんじゃ?!
たまに孫の行動が解らなくなる事があるが、今がまさにそれだ。

「承…」

現状打開のために、顔の横に置かれた腕を押しのけながら、もう一度孫の名前を呼んでみようとしたその時。
全く違う方法を持って、確かに現状は動いた。
もはや、巨大な壁に閉じ込められる状態になっているわしに、目の前の男は、あろう事か。
後頭部に素早く手を添えて、強烈なキスをお見舞いしてきたのだ!
呆然自失の後、すぐ様抵抗を試みたが、スタンドでも使ってるんじゃないかという様な力で抑え付けられる。
そして、そろそろ膝にきそうなタイミングでようやく離れた承太郎を、反射的に潤む視線でキッと睨むと。

「…まだ十分じゃねえな。」
「ア、アホかー!」

孫のスイッチを盛大に押してしまった事に、応じられた笑顔の質で、いやがおうにも気付いてしまい。
夏の始まりを告げるセミの声を背景に、わしの背中には暑さとは正反対の温度の汗がサーッと流れたのだった。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
とらさん、ハッピーバースデー!


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承ジョセクリスマスSS「mistletoe」

2013/12/25

欧州の香りが色濃く残るこの地にて迎えるその特別な期間は、さすがに普段あまり信心について思いを馳せないわしの心をもざわついた。
元々持っている、お祭り騒ぎ好きの血が多分に作用しているせいなのかもしれないが。
見回せば自分の居住地ほど華美ではないが、しっかりとその存在を主張する光のイルミネーション。
聖書の一端を表す美しい人形達。
店々は、早々に戸締りをされており、この時間は人の通りもまばらである。
そう、この町のみならず、多くの欧米諸国では、この時期は恋人と過ごすというよりも家族で過ごす色合いが強い。
父親はプレゼントを用意して家にまっすぐ向い、早々に帰宅した子供達は母親の作るケーキの手伝いをし、ツリーの下でそれを待つ。
そして東洋の文化と異なり、クリスマスを終えても、年を明けるまで家族と共にこの雰囲気は続いていくのだ。
家々の窓から漏れ出る光は、見ずとも、その光景を十分伝えてくる。
マフラーを結び直しながら、「まるでマッチ売りの少女だな」と一瞬、考えた自分に対し、小馬鹿にした笑みが浮かぶ。
「ついにボケたか」と。
冷ややかな低音で告げる、何だか懐かしくさえある声が聞こえた気がした。






世間一般でいうこの特別な時期に緊急の仕事を入れたのはわし自身だ。
最終決定権を持つ自分が進めた方が効率がよかったし、どうしても時期を逃せない事柄だった。
それに部下に対し、“この日”に仕事を頼める厚顔さはさすがに持ち合わせていなかった。
 
 
 



耳元を掠めた風に誘われるようにふと見上げれば、そこには人々を祝福するような満点の空。
ビル群など存在しないこの場所の空は、どこか近く、そして一層の煌きを放つ。

遥か離れた距離に隔たれているとはいえ、同じ空の下にいるのだ。
見ている星々は同じだろうか。

幾千回と使い回されたそんなフレーズが、思わず頭に浮かんでしまう。
ああ、まずい。
さっきのことといい、今日の自分の思考はどうかしている。
今浮かんでくるのは、毎年の、そして今年も行われているであろう我が家のにぎやかなクリスマスパーティーではなく。
よりによって、あの声と瞳とは。

こんな日は、貰い物の一級酒でも一杯あおって、早々に寝るに限る。
明日には肝心の商談も控えている。
一晩たてば、こんな気持ちも掻き消えているだろう。
そう。
こんな気持ちなど。

認める訳にはいかないのだから。
 
 
 



ドアに手をかけると、金属のひやりとした感触が手袋ごしにも伝わってくる。
明ければそこには、真っ暗な空間が広がるはずだ。
そう、はずだったのだ。

「…遅えよ。」

だから、その言葉が降ってきた瞬間、わしはその事実を暫しの間、受け入れることができなかった。
随分と無様な呆け顔を十分曝した後。
冷え切った体に血が巡るのを感じたのは、驚きか。
はたしてそれ以外の感情故なのか。

「な・・・なんでおまえがここにいる!」
その解の前に、ようやく当然の問いが口を衝いて出ていた。
「別に…ちょっと寄っただけだ。まあ、明日の朝にはあっちにとんぼ返りだがな。」

寄っただけ、と。
さらっと言ってのけた相手、承太郎は全く意に介していないようだが、ことはそう単純なものではない。ここまでたどり着く為に割いた時間と距離。この時期の急な飛行機のチケット手配等の手間。
ハードルは目に見えて高いのだ。

「いやいやいや、おかしいじゃろ。今日は日本にいる筈だったのに…ちゃんと説明…」
「あれだけ騒ぐのが好きなくせに、よくもまあ仕事なんていれたもんだな。ある意味、鬼の霍乱か…
「は…?鬼…え?」
混乱状態に追い打ちをかける様に、さらに意味の解らないフレーズを最後に呟かれ、ますます
気勢を削がれ、脳内は疑問符に埋め尽くされる。
不本意じゃ。非常に不本意じゃ。
その渦巻くものをぶつけようと、きつい視線でしっかし正対しようと顔を上げると。
いつの間にか、相手の口元には、ひどく緩やかな笑みがたたえられていた。
「まあ、いいからとっとと入れ。」
その稀有な表情を見た瞬間に、跳ね上がる鼓動と、前後の事情等どうでもよくなる現金な自分を認めざるを得ない。
それを振り切り、隠すように、わしの借りてるホテルなのにと、意味のない毒づきをしながら、その横を通りぬけようとすれば、瞬時にその肩に重みがかかる。
「何じゃ。入れと言ったのは…」
「その前にだ…ほらよ。」
振り向きざまに、何かが小さな放物線を描いて自分に向かって投げられる。
反射的にすくいあげる形になった両手に、それは見事に収まった。
「ナイスキャッチ」
「…これは?」
「そこのクリスマス市場で買ってきた。」
目で促されるままに、小さな箱を開けてみれば、表れたのはヤドリギの下に据えられた鳩の飾りだった。
この形状を考えるに…
「ん?これは何かと組み合わされるようになっているのか?」
「ああ。もう一匹のこいつとな。」
そこには、自分の持っている鳩とは正反対の方向を向いた同型の飾りがその右手に握られていた。
「お守りの意味があるんだとよ。」
「あのなあ・・・・・・」
わしだってその言い伝えは思い出し…もとい、聞いた事がある。
ただし。
それはただのお守りでなく。

分け合った二人が末永く幸せでいられますという様に、というものだ。

それを解っているのか、いないのか。
また感情の読めない表情に戻って、ぶっきらぼうに差し出された逆の手に、自分の言葉は続けずに指を伸ばすのと、苦笑いを返すのとはほぼ同時だった。
 
やはりわしも、大概どうかしているな。

口には出さなかった言い伝えと感情を胸に秘める中。






刻限を知らせる教会の鐘が荘厳な音色をたたえ、響き渡り始めていた。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
久々過ぎて、色々思う所はありますが、やっぱりこの日は外せない!
去年はクリスマス関連は花ジョセだったので、今年は承ジョセ!
何はともあれ、メリークリスマス☆
 
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花ジョセハロウィンSS『Trick or…Treat???』

2013/10/31

「はああああ。疲れた…」

この国には「持つべきものは奉仕を」の精神が浸透している。
俗に言うノブレス・オブリージュ。
平時は学術施設や福祉施設への定期的な寄付として。
そしてこのシーズンになれば、関わりのある場所に対し、大仰なまでのハロウィンの飾りつけや演出を行うのも恒例になりつつあった。
ただ…確かに自分もハロウィンのこのお祭り騒ぎは大好きではあるのだが、さすがにあちこちに顔を出し、軽く演説し、15分も休憩のないスケジュールを送れば、こうなるのも必然だったのだ。

体の疲労度に比例する様に、深く沈み込むお気に入りのソファに体を預けていると、そのやや斜めに置かれたガラステーブルがことりと音を立てる。
無意識に視線だけを向けると、その音の主であるシンプルな白の金縁カップには、きれいなきれいな飴色の紅茶が注がれていた。

「本当に今日はお疲れ様でした。気休め程度にしかなりませんが、どうぞ。」
その声に今度は顔ごとあげれば、心からの労わりを込めた笑顔とかち合うことになる。

自分だって、準備に追われて、昨日はほとんど寝ておらんくせに。
そして、今日はそのおかげで、どれだけスムーズに事が運んだか。
その努力も、苦労も表面上は全くおくびにも出さず、そうやってわしの心配ばかりするんじゃな。
本当にお前さんは…

そんな言葉を飲み込んで、感謝の言葉を告げようとした瞬間。
ふと同じテーブルの上に置かれた、かぼちゃマークをあしらったガラス箱に入ったキャンディが視界に入った。
つい先ほどまでいやという程見ていたその柄であったが、わしの頭脳は疲弊しながらもすぐさま、一つの結論を導き出す。

“どうせなら今日にふさわしいお礼を渡そうじゃないか。”

先ほどまでのくすぐったい気持はどこへ行ったのか。
その内情が完全に表に出てしまった、品が良いとはおよそ言えない深い笑いを口元にたたえながら手招きすれば、自然と穏やだったその表情に、一点の訝しさが浮かぶ。
「え…っと、ジョースターさん?」
まあその気持ちは解る…が!即断即決がわしのポリシーなんでな。すまん!

全く心の台詞と行動があっていない速さでもって、右手にはそのキャンディを握りつつ、スーツの袖口を左手でつかまえ一気に引き寄せた。
そのまま口元にキャンディを放り込むや否や、瞬時にお互いの距離がゼロになる。
静寂の支配する部屋に、僅かな水音がやけに大きく響いていた。






「…っと」
そんな、時の間隔を忘れた様な空間の中で、十分に堪能したとばかりに、先に距離を取ったのは、仕掛けたのと同様、わしの方だった。
「今日はいたずらしてもいい日だからな!」
そのまま上げかけた腰を下げ、口元にまで甘味が残っているかの様に、ぺろっと舌を出して、いたずら成功!を体現してみれば。

「僕から何も言ってないですし、トリックをもらったのか、トリートをもらったのかこれじゃ解りませんよ…」

見る見る色の変わっていく、口内の物により少し膨らんだ頬のその熱上昇を抑えんがばかりに、片手で顔を隠しながら、この初心な青年は完全に俯いてしまった。
まあ、座っているわしからは全て見えとるんじゃけどね。
いやー、若いっていいのう。この反応を見てるだけでも楽しくてたまらない。
そんなウキウキ感に重なる様に、古びた振り子時計が低音でリズミカルに時刻を告げる。
お、もうこんな時間か。そろそろ他の連中を…
と、今度は完全に立ち上がろうとした時である。
時計にやっていた目線を戻すと、何故か自分の眼前には影ができていた。
いや、影と言うかその体そのものが。

「ジョースターさん!」
「は、はい!?」
そして突如降ってきた大音声に、思わずそんな間抜けな返しが出てしまった事に、羞恥が駆け上るより先に。
「貴方がその気なら…僕、頑張りますから!」
顔を染める色は変わらないながらも、その瞳だけはさっきの狼狽え具合から一転していて。


『ジゴウジトク』

瞬間、何故か片言の日本のことわざが頭をよぎる。
しかし、そんな事はお構いなく。
目の前の人物と共謀して、抵抗を抑えようとでも言うように、そのやわらかさを誇るソファがさらにわしの体を包み込んでいくのを感じながら。

背筋がひんやりするのは革の感触なのか、別のものなのかを判断するその猶予は、どうも与えられそうになかったのだった。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
当サイト恒例の社長と秘書な花ジョセ!
じじいがハッピーになれたかどうかは別のお話?
とにかくハッピーハロウィン!
 
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ジョセフ誕生日SS「Wishing you…」

2013/09/27

「あれ?今日は社長は早めのランチに行かないのか?」
「…カレンダーを見てみろよ。今日は何日だ。」
「26日だろ?明日はもちろん予定ぎっしりだが、今日は特に…あ。」
「そうだよ。26日の昼間なのは、あくまで”ここ”の時間だからな。」
「成程。俺は去年知ったが、ここの風物詩だという話だったか。」
社長室の前の廊下で、そんな会話がされている正にその時。


執務机の左側に配置された、その部屋の風格に合う年代モノの電話を前にして。
ジョセフ・ジョースターは、ただひたすらその黒い物体を見つめ続けていた。
机上には、これまた古めかしい置時計があるものの、それを軽く横目にしつつ、愛用の腕時計に鋭い視線を落とす。
盤面に表示される日付欄は26。そして針が指すのは、午前10時59分。
微細な筈のその刻音が、今だけはやたら大きく聞こえていた。
そしてついに秒針が11の数字を横切る。
3・2・1…
ジリリリリ


耳にその音が飛び込んだのとほぼ同時に、見事な反射神経で勢いよく掬われた受話器は、若干のカツンという抵抗音を表しながらも、左手の中に納まった。
「…よお、じじい。」
そして、耳元に迎えたそれが、最初に伝えた第一声は、あの国特有の「もしもし」でも、こちらの挨拶「Hello」でもなく。
その年齢にしては、やたらドスの聞いた、だがとても心地よい低音のその一言だった。
「ふふふふふふ。」
「…おい、いきなり何だそれは。気持ち悪い。やめろ。」
「だってな…何回経験しても”これ”は嬉しくてのう。あ、どうせならこんな日に位、おじいちゃんって呼んでくれても罰は…」
しゃべっている最中にも零れる、止められない喜びの笑い声は、一向に止まる気配がない。
しかし、そんな事は本人にとってみては、些細な事であり、お構いなしの事だ。
「………」
だが、そんな浮かれ気分も、少し長く続いたその沈黙に、さすがに我に返るハメになる。
「うわー!待った!すまん!調子にのった!黙らんでくれえ!」
本題の前に切られてしまっては叶わんとばかりに、必死にそう言い募れば。
「…アンタって奴は…まあいい。」
そう一旦、僅かな吐息が聞こえた後。
「…Happy Birth Day」
ネイティブの発音と何ら変わらない流暢な美しい祝いの言葉が、ジョセフの耳にストンと入り込む。
それは瞬時にして体の隅々まで行きわたり、じんわりと温もりを与えていく。
「ありがとう、承太郎…」
そのまま電話コードの伸び限界まで、背面の窓に向けて振り返った彼が見ていたのは、眼下の緑溢れる公園ではなく。
遥か彼方の東を指していた。

◇◆◇

そして、その彼方の国で同時刻、空条承太郎は思い出す。
あれは小学校にすらあがっていない、留守番中の夏の終わりの朝の事。
「Grandpa!Happy Birth Day!」
「え?」
受話器越しに聞こえた祖父の声は、多分に驚きを含んでいた。
事前に何も言わず、確かにびっくりさせたかった訳だが、それは自分の思っていた驚きとは違う気がする。
僕何かしちゃったのかな。
幼いその心に訪れた不安から、思わず口をつぐんで受話器を両手で持っていると、
すぐに祖父から、慌てた、でも優しい声音が返される。
「あ!すまん、承太郎。そうじゃった。時差があるんじゃったな。」
その祖父の反応に安堵しつつも、そういえば、母から“時差”というその単語を聞いた事があった事を、今ここで彼はようやく思い出した。
「ありがとう、承太郎。わしはとても嬉しいよ。そしておまえがお祝いの一番乗りじゃな。」
そして、その、いつものウィンク付きで言っている姿がありありと解るご機嫌ぶりで告げた祖父の言葉は。
ひどく彼の耳に残り続けた。

◇◆◇

一番乗り。
そう、何事も“一番”が大切なのだ。
現在に至るまで、アンタへのバースデーコールは俺が一番であり。

今この時は、俺だけのものだ。


急に騒がしさが消えた電話口に気を取られた後、自覚すると、承太郎の口元は、そんな独占欲に僅かに歪んでいた。
電話というものが、顔が見えないものでよかったと、こういう時、彼は心底、思う。
しかし、そんな独占欲と対をなすような、でも確かに存在する心を満たす、ひたすら穏やかな気持ちがあるのも眼前たる事実で。


おそらく、このすぐ後耳元で、再び歓喜の喧騒が繰り広げられる事も予想しながら。
特別な日だから、相手の願いを叶えてやるんだ、と自分に言い聞かせ、
”その気持ち”を伝える為に、承太郎は再び、その唇を開いた。

「Wishing you happiness in life…Grandpa」





*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
またしても滑り込みセーフだけど、ジョセフ誕で承ジョセSS!
前から書きたかった遠距離時差話をようやく載せられたけど、
ちょっと突貫すぎて色々お恥ずかしい…!うう。
でも、何はともあれジョセフ!お誕生日おめでとう!
*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*

 
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花京院誕生期間SS「Helianthus annuus」

2013/08/22

「はい…」

アメリカでの受験を控えて、両親の出かけている家で、ただひらすら籠りながら勉強をしていると。
けたたましいチャイムの音が、ささやかなクーラー音のみの部屋に響き渡った。

「国際宅配便になります!」

重い腰を上げ、玄関の扉を開けるや否や、少し寝不足気味の頭に響く、大きめな声で告げられた箱に貼られた送り状を見ると、送り主の名前が書かれていない。
その不審な状態は、普段だったら確認すべき項目なのだろう。
だが僕は何の問いかけもせず、玄関棚に置かれた印鑑にすぐに手を伸ばし、受け取る事にした。



何より、その宅配物が自分宛てだったのと、“アメリカ”からの空輸であった事が解ったからだ。
まだ確定もしていないのに”落ち着け”と早まる鼓動に命令しても、一向に効き目はない。
ないものねだりはしない生き方だった筈なのに。
あの50日間の日々は、僕をこんなにも変えてしまった。



お礼の言葉と共に、軽く宅配員を見送りながら、その大きさに比べ意外と軽い箱を”Fragile”の注意書きに従う様に、ゆっくりと玄関先に置く。
ハッと気付いて、ハサミを取りに台所に急いで向かい、戻ってきた後、僕はテープ止めされたその部分に、丁寧にハサミを入れていった。
そしてその箱が開かれた瞬間。
まず視界を埋めたのは、溢れんばかりの黄色一色だった。
突然の事に面食らい、それが「切り花のバスケット」だという事に、しばらく気付けない。
何回か目を瞬かせ、全体像をしっかり認識した後、ようやくその中にそっと、挟み込まれた赤い縁取りのかわいらしいカードを発見する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『HAPPY BIRTHDAY!
ふふふ。びっくりしたか?
来年の今頃は、さらに驚く、とびっきりのひまわり畑に
連れていってやるからな! J.J』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

綺麗な筆記体でそこに書かれているその文字が、とても鮮やかな音声で再現される。
僕の口元は知らず、それに呼応する様に、心からの笑みを湛えていた。



ああ、今無性に、ただひたすらその声が聴きたい。



太陽を象徴するそれは、自分にはとても似合わない花だと思っていたけれど。
あの人を思い出させるその花を。
せめてものよすがを求める様に、手で黄色い花弁を緩やかに撫でつけながら。






僕は初めて、好きだと思った。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
とんでもなく滑り込みになったけど!
花京院ハッピーバースデー!!!

 
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花ジョセSS「Singin' in the Rain」

2013/07/29

NYは他国の都市と比較しても、そこまで降雨量が多いわけではない。
日本でいう『梅雨前線』は緯度の関係上、ここまでは上がってこないという事もある。
それでもまあ、もちろん雨季を感じる程、連続で降る日もある。
それがこうも続くと梅雨を知っている僕でもさすがに気が滅入ってくるというものだ。

「また天気予報を外しおって。」

そう目の前で口を尖らせるジョースターさんの意見には頷かざるを得ない。

「何が”今日は久々に晴れ間が続くでしょう”じゃ。全く…新聞を代えてやろうかの。」

とりあえず帰社したら、他の定期購読候補リストでも挙げておこうかな、と苦笑いを浮かべるしかなかった。






外部との打ち合わせの帰りに寄ったリトルイタリーのリストランテで遅めのランチを取っていた時、最後のコーヒーを啜る音と同時にぽつぽつという雨音が聞こえ始めた。
そして最初はそんなたわいのない音が、カップの底が見える頃には、かなり大きめのそれに変化していったのだ。
ランチタイムぎりぎりの為、唯一の客だった僕達に、外の様子を見兼ねて店員が1本しかありませんが、とネイビーの古びた長傘を差し出してくれる。
タクシーを呼ぼうかとも思ったが、地下鉄の駅までそこまで離れていない上、そんな店員の厚意も無下にはできず、僕たちはそのまま歩いて外に向かう事にした。
しかし、その最中にもますます強まる雨脚に比例して、降下していくジョースターさんのテンションをひしひしと感じる。
ああ、さっきの会合相手の横柄な態度も尾を引いてるんだろうな…
そんな雰囲気を変えようと、傘の柄を握りなおして別の話題を投げかけようとした、その時だった。

「そうじゃ!」

名案を思いついたという声と共に手を打つと、ジョースターさんは鞄の内ポケットから、愛用のウォークマンを取り出す。

「これぞまさに”雨に唄えば”作戦じゃな。ほれ、花京院。」
「え?僕もですか?」

そのまま両耳に宛がわれると思っていたイヤホンの片方が自分に向けられている。

「いいから、いいから。本当に気分が上がるもんじゃぞ?」

そう楽しげに言われてしまえば、僕に断る理由などありはしない。
そして。
では…と耳に装着したその瞬間、それは起きた。

「お!気付かんですまんな花京院。お前さんの方が濡れとるじゃないか。ほれ、もっとこっちに寄りなさい。」

そういってジョースターさんはニコリと笑い。
握っている僕の手に重ねる様に柄を掴みながら、僕の肩を抱き寄せたのだ。






あまりの事態とその唐突さに、僕の思考は一瞬、完全に停止する。
もはや耳に入ってくる音楽が何なのかも判別できない。
…近い。近すぎる。
物理的にもそうだが、これは完全に精神的パーソナルスペースを超えている。
だがそれ以上に。
自分が今、”誰”とそうなっているのか。
否が応でも体の様々なシグナルがそれを教えてくる。

「お、おい!花京院!顔が赤いぞ?風邪でも引いてしまったか?」

そう心配そうに傘を傾け覗き込まれて、僕は今いつも通り、笑えているだろうか。
それでも精一杯の「何でもないです」を繰り返しながら。






僕が願ったのはただ一つ。
今ジョースターさんの左耳に流れる音楽と、このうっとおしかった筈の雨音が、
このうるさく脈打つ拍動を、かき消してくれる事だけだった。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
この間のお題SSと同じく社長と秘書設定。
梅雨明けが思いのほか早かったのでちょっとシーズンを逸しましたが(^^;
雨の日ネタの王道を詰め込んだらどうなるか花ジョセでお試ししたら…
やっぱり一向に進展しない二人になちゃいました。典明君ごめんね!
 
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承&ジョセSS「星祭の日」

2013/07/07

先ほどまでお母さんとおじいちゃんと一緒に、折り紙で星型や提灯型の飾りを作っていた同じ卓で、僕は今、覚えたての漢字を使いながら必死に自分の願いを込めた短冊を作っている。
用意した紙はピンクと水色の2枚。
一つには、“僕の周りの人達が幸せであります様に”
そしてもう一つは…
“おじいちゃんと…”
「承太郎ー!そろそろ飾り付けを始めるぞー!」
そのタイミングでの当の相手からの大きな呼びかけに心臓が跳ね上がる。
一瞬文字が揺れそうになったけど、何とか止まり、そのドキドキを抑えるために一度深呼吸をして、「はーい!」と大きな声で返し、急いで短冊を仕上げると、僕は縁側に向かって駆け出した。






「どーじゃ!立派な笹じゃろ!」
おじいちゃんが業者に持ってこさせ立てかけた笹は、その言葉通り、友達の家や学校に置かれているどの笹よりも大きくて立派だった。
「うん!ありがとう、おじいちゃん!」
そう答えれば満面の笑みを浮かべてくれるおじいちゃんを見上げていると、お母さんがそっと屈んで、
「最初はおじいちゃんったら、『竹』を丸ごと買ってきて庭に植えようとしてたのよ」
と笑いながら耳打ちしてくれた。
「こら!ホリィ!」
「きゃー!ごめんなさいパパ!」
そのまま、竹と笹の違いなんかわしには解らんわい、とふてくされるおじいちゃんの口を尖らせた姿を見て、僕とおかあさんは顔を見合わせてふふっと笑った。






「よーし!わしのは結んだぞ。」
その長身を活かし、笹の頂点付近に結んだおじいちゃんが高らかに宣言する。
「ほれ、承太郎。どうせなら少しでも天に近い方がいいだろう。おじいちゃんが結んでやるから。」
そう言われて、僕は咄嗟に短冊を後ろ手に隠してしまう。
「え!い、いいよ…大丈夫だから。」
おじいちゃんはただ厚意で言ってくれているのに、それを拒むのはとても申し訳ない気持ちになるけど、どうしてもこれはおじいちゃんには見てもらいたくないのだ。
だって…

「パパ。日本の人はとっても奥ゆかしいのよ。願い事は心に秘める事が多いの。ねえ、承太郎?」
願いの内容を知ってか知らずか、お母さんが助け舟を出してくれてほっとする。
「そういうもんかの?相変わらず東洋の考えはいまいちわからん。」というおじいちゃんの呟きを耳にしながら、僕は急いで自分の手の届く高さで、笹の奥の方に短冊の紐を結び付ける。
どうか。どうか僕の願いが叶います様に。
そんな作法はないのかもしれないが、自然と手を合わせて目をつぶった僕の頭に、何かがぽふっと置かれる。
「叶うといいな、承太郎の願い。」
「…うん。」
その言葉に、嬉しさを込めて僕はゆっくり、でも大きく頷いた。





縁側で一緒に食べたスイカを片づけにお母さんが席を立ってから暫くして。
隣から「それにしてものう…」というおじいちゃんの声が聞こえてきて、足をぶらつかせながら、緩やかに横を向く。
「ん?何?」
「いや、一応七夕の勉強をしてきたんじゃがの…はっきり言ってちょっと自業自得と思う所もない訳ではないが、それでも好きな人間に一年に一回しか会えないのは不憫だのう。」
「…うん、そうだね。」
授業で習ったそのストーリーを僕も思い出し、そのまま満天の星空を眺める。
「今年はこんな晴天だし、ちゃんと会えるといいのう。」
その言葉に、またしても同意をしようと再度おじいちゃんの方を向いた時だった。
さっきまでの僕と同じように星空をただ見つめるおじいちゃんの瞳は。
何故だろう。
こんな事を言うのはおかしいのかもしれないけど。
完全に『僕の知らない人』のものになっていた。
それに対し、ふわふわとした、掴みどころのない気持ちを持った僕の唇は、その内容を判断する前に、思わずこう投げかけてしまっていた。
「おじいちゃんも…普段は会えない、会いたい人がいるの?」
しかし、そう告げた時に震えたおじいちゃんの肩を見て、僕は自分の発言を瞬時に後悔した。
これは聞いてはいけない事だったと、何かが激しく告げている。
「…ごめんなさい。」
とんでもない事をしたという重たい感情に苛まされ、もはやそれしか言う事ができず、拳を握りしめて濃い色の床板を見つめる。
「…承太郎は、本当に優しい子だな。」
しかし、とても温かな温度を持った声音が上から聞こえたかと思うや、僕の体はそれと同じ温もりに包まれる。
おじいちゃんに抱きしめられているのだと。
そう気付くのに少しの時間を要した。
「お、おじいちゃん…!」
そのまま背中に回された手に優しく背中を叩かれると、我慢していたものが零れ出てしまう。
どうしよう、涙が止まらない。
何でなのかは解らないけど、僕は唐突に思った。
これはきっとおじいちゃんの涙だ。
だからこそ、僕には止められないのだ。
「確かに会いたい人はおるよ。でも『今』はな…」

「わしはお前達家族に何よりも会いたいし、側にいたい。」
そう告げてくれるおじいちゃんの言葉は、まるで僕の願いを聞き届けてくれたみたいだった。
「うん。僕もおじいちゃんにいっぱい会いたい。」
先ほどまで必死に隠していた願いが、引っ張り出される様に、スルリと飛び出す。
「そうか。」
そう言って笑ってくれるおじいちゃんの気配を感じ、その笑顔がいつまでも続く様にと、僕は閉じ込める様におじいちゃんの背中を抱きしめ返した。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
七夕によせて。
突貫SSなのでお恥ずかしい点が多々ですが…
家族的なおじいちゃんと孫の関係な二人も大好きです!
 
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花ジョセお題SS②

2013/07/04

それは一体どういう会話の流れでそうなったのか。
おそらく、時間ができた時の暇つぶしに関する話からだっただろうか。
花京院の口から出たのは、日本の子供は一度は体験した事があるであろう、背中に指で文字を書いて、その単語を当てるという至極単純なゲーム。
普通だったら、そのまま話の種として終わる筈が、好奇心旺盛なジョセフは、早速実践を望んだのだった。

課したルールは5問で、多く正解した方が勝ち。
まずは手本も兼ねて、花京院が先攻となったのだが…

「うーん、このゲーム、かなりの集中力が要求される筈なんですが、やっぱりジョースターさんはすごいですね。」
その感嘆の言葉が示す通り、ジョセフは4回連続で単語を全て当てていた。
「いやいや、きっとアルファベットの綴りが簡単だからじゃと思うぞ…そうだ。最後はレベルを上げて漢字でもいいぞ!ただしお手柔らかにのう。」
そう満面の笑みで言われて、心が温まるのと同時に、花京院の中で何かが閃く。
ジョセフは前を向いているから気付かないが、その頬はうっすらと染まっていた。
「じゃ、じゃあ最後の一回、いきますね。」
「うむ。」

えーっと、最初に書いたのは、『女』という意味か?その後のこの字は、確か『子』だったかのう。
ふふふ。つまり、『Girl』の意味じゃろ。これ位の小学校レベルの漢字ならいくらわしでも…

そうジョセフが勝ち誇った笑みを口元に湛えようとした時だった。
書き終わった故に止まったと思っていた花京院の指が、一呼吸置いて、もう一字を付け足す。
それは…

平仮名の「き」

つまりさっきのは『女子』ではなく…

脳内で改めて構築された文字に、瞬時にして若造の様に心臓が早鐘を打ち鳴らす。

…ちょっと待て。わし、どうしたらいいんじゃ。
というか、これはどういう事だ。
いや、落ち着け。多分花京院の事だから、気を遣って、簡単な日本語にしてくれたんじゃろ。
そうだ。それ以外に他意はない。ある筈がない。
後は笑って正解を告げればいいだけだ。
それで先攻のターンは終了!この空気も変えられる!

「花京院、わかっ…!」

そう何事もない風を装い、勢いよく振り向いた筈だったのに。
当の相手は、まるで湯気が出るんじゃないかという位、その顔を真っ赤に染めて、ただひたすら俯いていて。
それを見たジョセフにできる事は、神への救いを呟きながら、それとは正反対に天を仰ぐ事だけだった。

そのまま伝染した様に頬や耳に広がる色に、もはや後攻分のゲームが行われない事は、火を見るより明かだった。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*

今回のお題は花ジョセで『相手の背中に「好き」と指で書く』
相変わらずこの診断メーカーさんは的確にツボをついてくる!かわいすぎるでしょー!
そしていつも通り、ちょっとずつしか進展しない当家の二人でありました。
 
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承ジョセSS「不確定性原理」(ガリレオパロ)

2013/06/24

「だーかーら!何で協力してくれないんだよ!」
「それが年上にものを頼む態度か?」
「じゃあ…協力して…ください…?」
「却下だ。」
「完全に言い損じゃねえか!!!」
ただですら苛立っている状況の中で、よくぞここまで人を弄べるなと感心する。
「明後日には大がかりな実験が控えている。他の事に関わっている暇はない。」
そんな抗議の意味を含めての、下からのきつ目の視線を送ってみても、
こちらに見向きもせず、白衣を棚引かせながら、バッサリとそう言い捨ててきた。






事件が起きる度に毎度毎度、この大学の研究室での不毛な言い合いの繰り返しである。
はあ…俺だって本当ならこんな変わり者の力なんて借りたくない。
でも、である。
今回の事件はどう考えても高名な物理学者であるこの男の領域だ。
「オカルト担当」なんて不名誉な渾名が付こうが、構ってはいられない。
俺は絶対に刑事として、いや一人の人間として、真実を突き止めたいだけなんだ。
それなのに…






「シーザー先輩…」
思わず零れたその名前に、目の前の相手がぴくっと反応したのを気配で感じたけど、気のせいか?
「何故その名前が今出てくる。」
反応の有無はさておき、やはり気にはなったらしく、そう問いかけが降ってきた。
「うう、だってアンタ先輩からの依頼は全部聞いてたじゃん………俺と先輩と何が違うんだよー!!!」
そう。元々、この男を「俺の大学の同級生なんだ」と、捜査協力者として紹介してくれたのは、今は栄転したシーザー先輩だった。
先輩とこの男が組んで解決した事件は数知れず。
その武勇伝とも呼ぶべき経歴に、入署したての俺は目を輝かせたものだ。
なのに!俺のこの男の印象、いや好感度は!出会ったその日からして下がる一方だぞ!
そんな感情の昂ぶりから後半部分は大音量で言い募れば、珍しく相手は苦虫を潰した様な顔をしていて。
あれ?何か俺まずい事、言っちゃた?
…ああああ!さらに機嫌降下で、これはますます、いい返事が遠のいちまうじゃねえかー!
自嘲から、ピカピカに磨かれた黒の机に、体全体でその冷たさを感じるまでさらに突っ伏してしまう。

「あんな曲者になられても困る上、殊の外その名前が出るのも腹立たしいものだな…」

「え?」
そんな状況のせいで、急にぽつりと零され、聞きもらしてしまった台詞に、驚いて顔を上げる。
「今、何て…」
「厄介事は早めに摘むに限る。とっとと概要を話せ。」
突然の態度の軟化に、再び固くなる前に!と勢いよく立ち上がれば、座っていた椅子が派手な音を立てて倒れる。
「本当に!本当か!?やったー!空条先生、ありがとう!」






その騒音に対して、神経質そうな横目で見遣るだけで、相変わらず完全にこちらを向こうともしないが、
そんな事はお構いなしに、俺は事件内容を、マシンガントークで一気に話すことにした。




*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
湯川=承太郎、薫=若ジョセフ、草薙=シーザーでガリレオパロ!
シーザーちゃん出てないけど!最終回前にやっておきたかったけど、まさかの当日アップになってしまった…
でもどうしてもこの設定でやりたくて!
やっぱり博士で白衣な承太郎が見たかったし、ドラマ版草薙の女ったらしっぷりがすごいシーザーなんですもん!
しかも、シーザーと承太郎が同級生っていうここだけの設定が意外とおいしくて…
いつも以上に完全に自分得ですみません!
 
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花ジョセお題SS

2013/05/20

今日中にまとめあげなければ、どう考えても明日の会合に支障をきたす、
まだまだ白地部分が多く残る書面と、ワープロを挟んで、睨み合っているこの状況。
睡眠不足から来る、かすかな頭痛がさらに追い打ちをかけてくる。
そんな状況だったのだ。
だから、目の前にふと降下してきた物への認識に時間がかかったとしても
しょうがないじゃないか。
…しばしその物体を凝視した後、意を決して顔を上げる。

「えっと…ジョースターさん、どうかしましたか?」

自分の右斜め前の、窓を背にした広いデスクに目線を向けながら、そう問いかけるが、返ってきたのはただただ沈黙。
しかし、その手には今こちらに投げられたものと同じものが準備されていた。
そう気付くやいなや、それは僕目がけて飛んでくる。
しかも。
まさかの三連続だ。

「ちょっ!一体何を?!」

慌ててキャッチしようとするも、最後の一個はあえなく自分の額で受け止める事になる。
痛くはないが、地味に精神的ショックが大きい。

「…ジョースターさん。」

理不尽とも思える行動に、さすがにいつもより低くなった声音で再度、その名前を呼ぶ。
しかしそれでもなお、動じる事無く、何事かを訴える瞳でこちらをじっと見つめてくるだけだった。

…絶対僕が”それ”に弱いのを解って、やってますよね。

やり場のない想いを少しでも緩和しようと、慎ましげに息を吐きながら、再度、手元の物体に目をやる。
どうやら自分で問いへの答えを見つけださなければならないならば、解決の糸口はここにしかない。

これって紙飛行機だよな。

日米変わらないその文化を感じながら、その姿を元の形に解体して開いていく。
最初に落下してきたものから順番に。

1枚目
『I』

2枚目
『want』

3枚目
『your』

4枚目
『attention!』



『わしに構え!! !』






頭の中で繋ぎ合わされ、自分を出迎えたそのフレーズに、危うく僕は目の前のデスクとワープロに頭を強打しそうになる。

ああ、もう!
貴方って人は本当に!

取りあえず、タイプの押し間違い等が起こらない様に、ワープロから用紙を引き抜き、安全な場所に避難させた後、手近なメモに走り書きをする。
そして呼吸を整えて一つ。

明日の会合も。
そして、これからの事も。

「どうなっても知りませんからね。」

自分でもひどく不穏当な言葉を日本語で呟きながら、椅子から立ち上がる。
だが、その行動に、ぱあっと花が綻ぶ様に笑った貴方の表情は、免罪符にするには十分なものだ。






『Sure thing.(了解しました)』

すっと机に滑らせたメモに対して伸ばされた指に、自身のそれを絡ませて、僕はゆるやかに微笑返す事にした。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
診断メーカーによるお題SS花ジョセ版!
今回のお題内容は『かまって欲しくて相手にちょっかいを出す』
こんないかわいいお題だったのに、何でオフィスラブになったのか…っ!
あ、3部後設定で、花京院はジョースター不動産かSPW財団で絶対ジョセフの
秘書的ポジションにいると思ってます!
 
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シージョセSS「i giorni felici」

2013/05/13

人に差し出すにしてはあんまりな、派手な音を立てながら置かれたシンプルなコーヒーカップ。
何事かと読んでいた新聞から目を離しサイドテーブルを見遣れば、視界に入ってきたのは、その上面を覆うエスプレッソの白い泡。
そしてその真ん中に、何とか読める筆記体で書かれた、あるイタリア語。
いわゆる、ラテアートというやつだ。
だが、見上げた先の相手は、今まで一度たりともこんな芸当を披露した事はない。
そこである事実に気付く。

「お前、ここ何日か出かけてたのは、まさか…」

外出する度に、どこへ行くんだという問い掛けを、こいつにしては珍しいぎこちない笑顔を伴い、かわしていた姿が浮かび上がった。

「そ。知り合いのやってるカフェで練習させてもらってたの。あ、もちろん手伝いとかちゃんとやりながらな。」

別に店の邪魔をしなかったか聞いてもいないのに、説明付きでそう答える相手に思わず口角が上がりそうになるが、ぐっとこらえる。

「…あれだけエスプレッソを毛嫌いしていたお前が、よりにもよってラテアートねえ。ん?ついにコーヒーの魅力に目覚めたか?」
「うるせえ!これはこれ、それはそれだ!紅茶党なのは譲らねえからな!」

至る所、至る時に繰り広げられるコーヒーVS紅茶戦争の集結はやはりまだまだ先らしい。
それに対し、目を閉じ、軽くため息を吐くと、上から得意げな笑い声が聞こえてくる。

「へへ。しかし短期間でここまでの技術をものにしちゃう俺ってやっぱり天才じゃね?」

そう自信満々に見下ろしてくるこの弟分の鼻を、調子にのるなと軽く弾きつつ。
再度、カップに目を移す。


『Auguroni』


数多く存在する、誕生日祝いのイタリア語フレーズの中では、一番短い。
そして、一番心のこもったその言葉。
さっきから、からかったり呆れてみたりと、別の感情で抑えていたが、やはり込み上げてくる喜びはどうしたって隠せやしない。
こいつの前で素直になる事を必死に拒もうとする子供の様な自分に、苦笑いを向けつつ、今日は一つ年を重ねたのだからと制しておく。

「だったらお前にも協力してもわらなきゃな、JOJO。」
「へ?」
「俺の幸せには、お前が必要だって言ってんだよ、スカタン。」

そりゃもう、さっきキッチンで鳴っていた湯沸かしポットと同じ音を立てそうな勢いで真っ赤になっていくこいつに。


『あなたの誕生日が幸せな日になりますように。』


そのメッセージを実行する為に、まずは俺のありったけのキスを降り注がせる事にした。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
当サイト初のシージョセSS!設定は現パロ!
またしても突発の短文で、滑り込み感満々ですが、愛だけはあります!!!
シーザー、お誕生日おめでとうー!
 
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承ジョセ即興SS②

2013/04/30

「なあなあ。どっか連れてってくれんか、承太郎。」

年甲斐もなく目を輝かせながら、本来の立場が逆転した様に、
“おねだり”の様相を見せるその体制で。
じじいは、まさしく“子供”の粘り強さで、俺の同意を勝ち取っていった。






本日何度目だ。
どうにも生暖かい視線を朝から感じている。
それは通りすがりの女子高生からだったり、立ち寄った店の年配の店員からだったり。
タイプは違えど、それには如実に「微笑ましい」という単語がびっしり貼りついていた。

そして今のこの状況。
電車内という限られた空間で、その視線はなおの事、濃度を増している。
「おい」
もたれかかってくる体を、少しだけ肩に力を込めて小突いてみても、うんともすんとも言わない。
あれだけ気配に聡い人間が、ここまで無防備になるものなのか非常に疑わしいのだが。
しかし、その反面。
俺に対し、気をとことん許しているという事実が、体中に染み渡っていくのも否めない。

ふと、小さい頃一緒に出かけた時は、寄りかかった自分の頭が、その肩には到底届かなかった事を思い出す。
今となっては、肩をしっかり貸し、横に目をやれば、完全に見下ろす状況だ。

…まつ毛長えな。

普段ではあり得ない角度からのそれに、思わずそんなどうでもいい事が思い浮かんでしまい、軽く頭を振る。
俺も相当、疲れてんのか。

我に返り、とりあえず目の前に座る親子連れの、こちらを見ながらの笑い交りの会話を耐え抜く最上の策として、俺は帽子を深々と被り直し、目をつぶる行動に出る事にする。
そうする事によってますます感じる肩からの振動と熱を。

反対側に倒れて、他の人間に迷惑をかけるよりはマシだ。

そう結論付けて。






残り3駅の短い時間だけ、大人しく受け入れてやる事にした。






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
診断メーカーによる即興SS第二弾。
今回のお題内容は『相手の肩にもたれかかって眠ってしまった』
これぞデートの定番!しかし、相変わらずの超短文です(^^;
 
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承ジョセSS「花に嵐」

2013/04/23

「一杯どうだ。」

春の陽気、そのあまりの穏やかさに、ヒュピノスに惑わされそうになっていたわしの頭上から、それを払いのける声がかかる。

「お前…それどこから持ってきたんじゃ。」

その手には、日本酒の一升瓶と鮮やかな蒼さを誇る御猪口二つ。

「蔵の中のをちょっとな。」
「あとで怒られてもしらんぞ…」

一応、保護者としての立場を示してみる。
だが、わしだって酒は嫌いじゃない。
特に、近年覚えた日本酒の味は、意外にも自分にしっくりくるもので、驚いたものだった。

「じゃあ、いらねえんだな。」

だから、自分の心に正直に動いた腕は、そう言って翻った相手の服の裾をしっかりと掴んでいた。



花に嵐



特等席の縁側から臨むのは日本庭園。
そして、その広さに在りながら何故か隅の方に陣取る、この国で最も愛される花。
一体、いつからここにあるのか聞いてみれば、この家が建てられる前から、既に植わってたらしいという返答で。
この家屋自体、相当年代モノだと思うんじゃが…一体どれほどの樹齢なのやら。

しかし、だからこその、この美しさなのか。
ひらり。
一つの花弁が地面にたどり着くのを見守っていると、すぐ様また新しいそれが視界をかすめていく。
その中で風に運ばれた欠片はまるで戯れる様にふわふわと踊り、緩やかに着地する。
そんな幻想的な繰り返しを、ただひたすら見つめていると、ある一つの思いがこみあげてくる。

「何でじゃろうな。」
「…何がだ。」
「ワシントンで見た桜は、青空に映えて、ただひたすら”きれいだ”とだけ思ってたんじゃが、ここの桜を見てると…」
「寂しいとか、哀しいって思うのか。」
「…よく解ったな。」

思わず顔に出ていたのか、自分の心情をぴったり見透かされて、いささか驚く。

「こっちの桜は哀しい哀しいって言われながら、根を張ってきたからじゃねえか。昔っからやたらその”儚さ”と別れを結び付けられる花でもあるしな。」

そして、そんな意外とも言える承太郎の回答に、今度は呆気に取られつつ。

「ははは。成程な。」

すぐ様、その的確さに笑みが零れた。
日本の言霊信仰という奴だったか。
言葉は力を宿す。
何度も何度もその言葉を刻みつけられれば、確かに花自身もそう思い込んでしまうかもしれない。

「儚い、か…」

そして、承太郎の発した一つの単語が自分の中に、『何か』を落とす。
わしは、少し強めに吹き始めた風に導かれる様に、再度その花樹に目を向けた。






それはあのハラハラと舞い散る花弁の如く。

古今、誰もが願った事じゃないだろうか。
まるで、視界を覆い尽くす程の花吹雪の向こうに。



二度と会う事の叶わない、誰かの姿が垣間見えるのではないかと。






「おい」
「え?」

一瞬、夢の中にいたかの様な感覚を打ち破る、その一言に弾かれた様に振り向けば。
承太郎がきつく自分の左腕を掴んでいた。
自分にその感覚はなくとも、”きつく”と表現したのは、ちょっとした機械音が生じていたからだ。
…それじゃおまえの手が痛いだろう。
そんな思いを込めて、握られた腕に視線を落とせば、それに気が付いた手がすぐに離れる。
自分の取った行動にいささかバツが悪くなったのか、そのままこちらを向こうとしない。

「おい、承…」

図らずも漂ってしまった、どこか気まずい雰囲気を和らげようと、名前を呼ぼうとしたその刹那。

「気に食わねえな。」
「…?」

全く脈絡のない単語が耳を通り、思わずその横顔をまじまじと見つめてしまう。

「何の話じゃ?」

今の流れで、どこか孫の不興を買う事があっただろうかと頭を捻る。

「…”アレ”にアンタを取られた気がする。」

だが、そんな些細な疑問は次の瞬間には、見事に粉砕されていた。
よりにもよって。
漸く、自分の方を向いたと思ったその口からは。
何の躊躇いもなく、そんな言葉が投げつけられていた。






暫しの完全なる沈黙の後、あまりにも直球なその台詞の衝撃に、わしの手から御猪口が床板に転がり落ちる。
現実逃避なのか、中身がなくて本当によかったなどと、どうでもいい事が頭の片隅をよぎった。

「な、なななな!お前何を言って!!!」

だが、体がスルーする事は許さないと主張するかの様に、己の顔に熱が集まってきてしまう。

「言葉通りの意味だぜ。」
「こ、言葉通りって…」

「俺といる時は、俺を見てろ。」

…ああ、こんな台詞、こんな表情で言われて。
年頃の女性だったら、一発で恋に落ちるじゃろうな。
だが、である。
…わしは”祖父”として、一体どう対応すればいいんじゃ!

「いやいやいや!落ち着け、承太郎!お、おまえ酔ってるじゃろ!そーいうのは…」
「次にアンタは「好きになった相手に言え」と言う。」

おいー!今の状態で使うか、わしの十八番を!
完全に後手にまわっている状況は全くもって不本意だ。
しかし、相手の油断を誘おうにも、そんなものは微塵の欠片も持っていない、自分と同じ緑の瞳に見つめられて。
わしの各部位は、全く持って主人の言う事を聞く様子がない。
そんな中、ふいに頬に手を伸ばされ、体が反射的に跳ね上がる。

「何、びびってんだよ。」
「だ、誰が…」
「ほら、これだ。」

その指先には薄桃色の一枚の花弁。
からかわれた様な気分になり、思わず怒りがこみ上げる。

「じょっ…!?」

だがその怒声はすぐ様、突然の温もりに封じられる事になる。
自分の理性に反抗する様に、ますます熱を持つその体を。






ただ散華だけが、どこか懐かしい優しさで、音もなく包みこんでいた。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
桜前線が終わっちゃう前に、なんとかアップ!
やっぱり一回は書いておきたい桜ネタです。
 
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承ジョセ即興SS

2013/04/10

きつい日の光が覚醒を促すのに、わしはしばらく抵抗していた。
この攻撃はかなりしつこい。
それに対する妙な反抗心の芽生えも確かにあるが。
しかしそれ以前に。
今どうしても目を覚ましたくない状況なんじゃ!

だが、全く好転しない状況に痺れを切らし、目を慣らす意味も込めて、そーっと薄目を開けてみれば。

「よお。」

窓際の一人掛けソファに、自然と優雅に座る孫と、しっかりバッチリ目が合ってしまった。
聡い!聡すぎるぞ、お前は本当に!

「よお、じゃないわい!」

こうなっては仕方ないと、慌てて、床に落ちていたYシャツを、即座に取り上げる。

「今更そんなもんいるのか。昨日は散々…」

「ぎゃー!うるさいうるさい!何も聞こえん!」

腕を通すよりも前に投げかけられた言葉に、思わずシャツを握りしめてしまう。
ああ、これ形状記憶じゃないんじゃけど…
手早く羽織ながら、そんなどうでもいい事にすら、涙がこみ上げてくる。
いかん。今すごく涙腺が弱くなっておる。

ぽんっ。

その時、頭の上に感じる、何だか懐かしい感触。
顔を上げる間もなく、そのまま少し寝癖のついた髪を、整えたいんだか、乱したいんだか解らない動きで、
髪を撫でられる。

「…何しとるんじゃ。」

「いや…何となくな。」

「お前な…」

だが、そうは言いつつも、それを払ったりはしない。いや、できない。
伝わってくる温もりは、遥かに優しくて。
認めたくはないが、心地よくて。
さっきまで、ごちゃごちゃになっていた自分の感情が、するんと紐解かれるような錯覚さえ覚えてしまうのを。



きっと遠い昔から呼び起された、”幼い自分”のせいにする事にした。







*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
診断メーカーのお題「ワイシャツ一枚で優しく髪を撫でられているジョセフを妄想してみよう。 」
に滾りすぎた結果がこれ。
勢いって怖い。期間限定掲載な香りがとってもします。
 
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花ジョセSS「四月のカッコウ」

2013/04/01

「ジョースターさん、好きですよ。」

腕を取り、振り向きざまの貴方にそう告げれば。
案の定、その瞳は一気に見開かれ、
そりゃもう、見事な程に青と赤が交錯した顔色になる。

「か、か、花京院!??」

そんな彼の必死さがあふれる呼びかけに対して、自分が投げた言葉に何もフォローせず、
僕はただひたすらにっこりとした笑みを返す。
沈黙を貫く僕のせいで、防御のための”会話”もできなくなったジョースターさんは、
完全に窮地に立たされた状態で、ひどく狼狽しながら、反射的に僕の手を軽く払う。
驚きか、はたまたそれ以外の感情によってか。
そのまま、自然と後退を始めるジョースターさんだったが、何かに閃いたのか、その動きが途中で止まる。
そして、その閃きに救われる様に、顔を綻ばせた。

「わ、解ったぞ!今日はエイプリルフールじゃな!危うくひっかかる所じゃった。」

そう安堵と自嘲が混じった息を吐く貴方に。
その行為が全くもって無駄になる台詞を、僕は間髪いれずに返す。

「本当にそう思いますか?」

「え?」

「嘘か本当。どっちだと思います?ジョースターさん。」

多分、今僕は、人前で見せた事のない表情をしているだろう。
耳に入る粘ついた声音もまるで他人の様だ。
それでもいいさ。

これは全部”嘘”なんだから。






とんっという音が、壁に接したジョースターさんの後方から聞こえる。
…でも、行き場をなくしているのは一体どっちなんだろうな。

「ねえ、ジョースターさん。当ててみてくださいよ。」

ダメ押しとばかりに、息のかかる距離でそう囁いてみれば。
ひどく困惑した表情は、そのまま哀しそうに歪む。
ああ、ひどいことしてるな、僕は。
でも。
今日は。今日だけは。
僕のことで、困ってくれませんか。


「…か、」

その時、部屋に備え付けの電話がけたたましくなる。
それはまるで、閉幕の合図の様で。
”終わり”の時を、僕に高らかに告げていた。






僕と電話を交互に見ながら、それでもまだジョースターさんは動けない。
これ幸いとばかりに、電話に逃げてしまえば、楽な筈なのに。
本当に、どうしようもない位、優しい人。
でも、だからこそ僕はそういう貴方が。

「ジョースターさん。」

もう一度、電話に目線をやった貴方に、普段通りの声音で僕は呼びかける。
そんな僕の変化に気付いたのか、弾かれた様にジョースターさんはこちらを見た。

「僕の負けです。その通り、エイプリルフールですよ。」

貴方が息を飲む音が、やけに耳に響く。

「ふふ。すみません。ちょっと迫真の演技すぎましたか?イギリスはエイプリルフールの本場って聞いてたんで、ちょっと力入れ過ぎちゃいました。」

「花京院…おまえっ」

「早く出てください。なかなか切らない所を見ると、きっと大事な電話ですよ。」

言い募ろうとする貴方を、無理やり制し、僕はそのまま扉へと向かう。

「待っ…!」

「お邪魔しました。ゆっくり休んでくださいね。」

パタリと閉じたその向こうからは、未だにコール音が続いていた。
それを背中越しに感じながら、急激に重さを感じた体はずるずるとそれに負け、腰をついてしまう。






本当にこの日にお似合いな、僕は世界一の愚か者だ。
でもだからこそ。
嘘と真実が交わる日に。
少し位の僕の気持ちを、混ぜ込んでもいいだろう?






*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
一応エイプリルフールネタ。
あまりにも突発すぎたので、後で修正とかしちゃうかもです(^^;
 
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